神崎聡(こうざきさとし)夢からはじまる
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改元の年

2019年5月1日より、新天皇即位にともなう新しい元号の時代が始まる。元号(一般的には年号)とは、中国を中心とする東洋の漢字文化圏に広まった紀年法のことをいう。その始まりは紀元前115年頃、前漢の武帝が「建元(けんげん)」という年号を定めたのが最初だとされている。以来、中国では吉兆とされる漢字を組み合わせた元号で年を表すようになり、それが中国の影響下にあった地域に広がり、それぞれの王朝が独自の元号を用いるようになった。日本は、崇峻(すしゅん)天皇、推古天皇の時代に遣隋使を派遣して中国の文化の吸収を図りつつ、中国の律令制度を取り入れ本格的な国家建設を目指すようになり、元号制度も、その過程で取り入れられたものである。

初めての元号は、645年の大化の改新の「大化」であり、今日まで脈々と続き、調べると、南北朝時代に双方で使われた元号も含めると、全部で247にのぼる。「明治」により、新しい天皇が即位したときに改元する「一世一元の制」が導入されたが、それまでは新天皇即位など慶事があった際の「代初めの改元」だけでなく、大地震や大火、飢饉、疫病などが発生すると、「災異(さいい)の改元」に踏み切ったり、時の為政者が人心を一新するために元号を変えてきた。最も長く30年以上続いた元号は、室町時代の「応永」のみであり、20以上に区切ってみても、「延暦」「正平」「天文」「寛永」に限られ、最も改元の間隔が短いのは、鎌倉時代の「暦仁(りゃくにん)」で2ヵ月と14日間。

元号の起源が前漢だったこともあり、日本で使われてきた元号はすべて、中国の古典を出典としていて、「尚書(書経)」「周易(易経)」「文選」「後漢書」「漢書」などがその代表例となっている。「平成」も、「史記」と「書経」からとられている。興味深いのは、「大化」から「平成」までの247個の幹事が使われているが、重複したものを除くと実際に使われている漢字の数はわずか72文字であり、そのうち21文字は10回以上も使われているということである。

現在、元号を使用する国は日本だけとなっている。元号の本家である中国も、清朝最後の皇帝時代に使われた「宣統(せんとう)」を最後に、元号を使用していない。元号不要論を唱える人がいるが、日本という国の素晴らしさは、元号を使い続けていることにあるんだと思う。それは元号が日本人の文化、歴史観に深く結びついており、「日本固有の文化」ともいえるものになっているからではないか。

何とも皮肉な結果であるが、「昭和」は、国民の平和、世界各国の共存繁栄を願ったものだったが、歴史的には戦争の絶えない時代であった。「内『平』かに外『成』る」「地『平』かに天『成』る」との願いを込めた「平成」も、多くの自然災害に見舞われた。こうやって元号を遡ってみると、実は歴史の連続性の中で生きていることに気づかされる。こうした歴史、現実を直視してこそ、今を生きる日本人が目指すべき道がみえてくるのはないか。

新元号も、これまでに使用されてきた漢字、なかでも読み書きしやすい10画以下の漢字が用いられるのではないか。どのような組み合わせになるか楽しみである。

日本の元号に使われた漢字と使用回数(出典『日本年号史大事源』雄山閣)
29回 永
27回 元、天
21回 治
20回 応
19回 正、長、文、和
17回 安
16回 延、暦
15回 寛、徳、保
14回 承
13回 仁
12回 嘉、平
10回 康、宝
9回 久、慶、建
8回 享、弘、貞
7回 明、禄
6回 大
5回 亀
4回 寿
3回 化、観、喜、神、政、中、養
2回 雲、護
1回 乾、感、吉、亨、興、景、衡、国、斉、至、字、朱、授、勝、昌、昭、祥、成、泰、鳥、禎、同、銅、白、武、福、霊、老、祚、雉


その他平成31年活動報告はこちらから>>

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